ピンクビラ1枚持っていただけでもだめ?! 都迷惑防止条例に反対!

 2004年12月1日から16日まで開催された東京都議会第4回定例会で、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」の改定がなされました。
 私たちは、この条例案に危惧を覚え、警察・消防委員会で審議が行われた12月13日、都議会各会派周りと都庁前宣伝行動に取り組みました。力及ばず改定されてしまいましたが、今後ともこのような動きには注視していきたいと考えています。

 今回の改定案は、2004年9月に2回にわたって行われた東京都「繁華街等における迷惑行為対策懇談会」の報告書をもとにして作られています。報告書の冒頭、「基本的な考え方」を見てみると、「都民の体感治安の回復に象徴的意義を有する繁華街の環境浄化対策についても、新宿歌舞伎町、池袋、六本木などの盛り場の環境浄化のため諸対策を推進しているところである。」となっています。  ここに書かれている体感治安という概念は、最近持ち出されてきているものですが、とどのつまりは「実際そうかどうかは別にして、危なさそう」ということにつきます。今の社会が不安定になっているのは事実でしょうが、窃盗などは増加しているものの、いわゆる凶悪犯罪がこの10年で増えているという事実はなく、ちまたでイメージされている「治安の悪化」については、厳密な検証をしなければなりません。むしろ、この基本的な考え方に端的なように、「体感治安の回復に象徴的意義を有する」というところにこそ、意味があるのでしょう。そして、「体感治安の回復」とは、人々の不安を駆り立てて、治安管理を強化することに他なりません。

 では、実際にどういった行為が規制されるのでしょうか。規制の対象となっているのは、風俗店やAVビデオへの勧誘、ピンクビラの配布、やくざの地回り行為などとなっています。勧誘については、客引きはすでに規制されているのに、それに加えて客引きをするための客待ちも規制することになります。ピンクビラの配布については、現行条例でも規制されていますが、今回は「(配布等を行う)目的で、ピンクビラ等を所持してはならない」となり、単に持っていただけでも規制(100万円以下の罰金)されるおそれが出てきます。さらに驚くべきことに、その枚数は1枚からでもだめであることが判明しています。これならば、撒く人だけでなく、ピンクビラをたまたま貰った人が、警察官に「お前は撒く目的で持っていたんだろう」とされかねません。客待ちもピンクビラの所持も、これから何かをしようとする段階であり、実際にそう行動するかどうかはその人の内面を覗いてみないとわかりません。しかし、それを警察官が外から判断することになるわけです。
 地回り行為については、ぐれん隊行為の禁止規定の中に、「暴力団の威力を示す等不安を覚えさせるような言動をしてはならない」という形で付け加えられます。その主語は「何人も、…」となっており、また、「不安を覚えさせるような言動」とは主観的かつ曖昧で、誰でも対象になる可能性があるのです。
 また、両罰規定が導入され、「その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、同条の罰金刑を科する」と、罰則の適用範囲が、いわゆる使用者にまで拡大されています。これも、条例レベルでは他にはそんなに例がありません。さらに、常習とされると懲役もしくは罰金刑と、重罰が課せられます。  総じて、「取り締まりに必要だから」という警視庁の言い分がそのまま通っており、結果として警察の権限を強めることにつながります。

 東京都は、治安の回復を錦の御旗にたてて、現職の警察官僚を治安担当副知事に据え(任期は2005年夏まで)、2003年には、東京都安全・安心まちづくり条例を制定し、東京都迷惑防止条例につきまとい条項を導入してきました。今回の迷惑防止条例も、そうした東京都の治安・管理政策の強化の文脈の中で読み取られるべきだろうと考えます。今回は、繁華街での迷惑行為に限って規制をするとしていますが、迷惑をキーワードに、その対象範囲を拡大してくることは容易に予想されます。実際、2004年2月には、自衛隊官舎にイラク派兵反対のビラをポスティングしたとして、反戦団体のメンバーが3人令状逮捕されました。
 私たちは、今回の東京都迷惑防止条例改定案に反対し、今後も東京都の治安・管理政策に批判の声を上げていきたいと思います。
  


 

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